10/08/2004

東京地裁、テレビ番組録画サービス「録画ネット」にサービス停止の仮処分

録画ネットと呼ばれる日本以外に住む人たちに向けて録画サーバーを管理する会社が サービス停止の仮処分を受けたとのこと。録画ネットはTVキャプチャー付のPCを販売し、それを管理している。顧客が録画サーバーを使い日本で番組を録画 して、外国のコンピューターからそれを自由にアクセスして利用している。

詳 しい判決内容はわからないが、想像するに、自前で商品を販売で きないテレビ放送会社が自分たちの知らないところで商品を勝手に扱われているので不愉快に 思ったのではないか。録画ネット側からすれば、顧客のコンピューターの管理をしているだけであって顧客自身の録画したものをどう使ってもよいといいったの であろう。

私の視点から言えば、アメリカにある日系スーパーマーケットの周りには日本で録画したビデオを著作権者の許可なく、それを当た り前のように商売をしている 人たちがいる。そのようなあからさまな侵害を長年にわたって不問にしておいて、ここ1年ほどで急に現れた録画サーバー管理サービスを攻撃するのは何故なの かと思う。

何の問題もなく日本の番組をアメリカで見るためにはインターナショナルチャンネルといわれる複数の言語の入り混じったチャンネルの少しだけある日本の枠を観るか、有料のケーブルでたった1チャンネルだけに高額を払って利用するしかない。

イ ンターネットの普及で、独自で国を超えて外国のマーケット、つまり、外国に住む日本人に直接商品サービスを提供できる環境にもかかわらず、その積極的利 用を怠ってきたテレビ放送会社には、自身の知らない場所で自身の商品が商売のネタに利用されているのが腹立たしかったのではないか。

正直 なところ日本のテレビ番組のレベルはアメリカのそれとは断然にかけ離れてレベルが高い。アメリカには契約によっては100チャンネルを超えるサービス を受けれる環境があるが、実際はショッピング、意味のない番組や、スカスカに構成された番組表があるだけである。たとえば、メジャーなテレビ局にもかかわ らず実際に満足できる内容のものか数少なく、他は再放送や映画やらで実際に作っているものの量は少ない気がする。対照的に日本のテレビは非常に内容が濃く 多岐にわたる分野をカバーしてると思う。

ア メリカに住む日本人として、今回の仮処分は非常に不満の残る結果となってしまった。結果として 外国で暮らす日本人にはそういう商品やサービスにアクセス することが、インターネットを基盤とした高度情報化社会でも、実現できないと結論付けられたようなものである。もし、上告されることになったとしても、資 金力に雲泥の差のあるテレビ放送会社とサーバー管理会社とではまともに勝負にならないであろう。

新しい技術を使って新しいものを作ろうとした者が、自己努 力を怠るが、他を引きずり降ろそうとする努力だけはし続ける者にしてやられた形である。日本のつまらない著作権管理の形が社会を衰退させる要因になるので はと心配するばかりである。

ちなみに私はそのサービスを利用したことはない。

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